「これがオレのスタイル。やりたいことに妥協はしない!!」

まずはジーンズにまつわる歴史に関してのおさらい。そして次第に氏のこだわりの全貌へ。
軽快な関西弁から放たれる”熱いトーク”にどんどん引き込まれて行きます。

他の誰かが用意したものではなく、自分の目と肌で感じたものを信じて「本当に作りたい物をつくる」。
なんだか、春先まで話題をさらっていた朝ドラの某主人公を見ているような感覚。あの人の道程も、それは厳しく長いものでしたが、氏の目指す行程もそうであったようです。

全てはかつて魅了された”あのデニム”を超え、それ以上の自分だけのオリジナルを作るため。どんな糸を使うか?染色方法は?織り方は?研究に研究を重ねた結果到達した理想のデニムは、「生産性」「効率」を全く度外視していると言える、極めて非効率なものでした。紡績工場、織物工場、縫製工場…「これを作りたい!!」と伝えるものの、最初は門前払い。足繁く何度も通い、あきらめずに伝え続けた結果、実現したオリジナルデニム。

それが「BONCOURA」

「ニッポンの伝統技術は本当にすばらしい!! だからそれを次の世代に伝えたい…」

何度も何度も生産の現場に通うのは、現場を信頼していないからではない。本当に良い物作りをしたいから、積極的に現場の職人さん達とコミュニケーションをとる。そこで生まれる信頼関係が、新しい発想やより良い素材を生み出す原動力になる。
その姿勢は、こうして遠路はるばる販売の現場にまで入り込み、僕らスタッフに自分の熱い思いを伝える姿勢と同じ。

「自分の思いやこだわりをしっかりと伝えたい。それをまたスタッフが伝えることで、お客さんが喜んでくれる。そうすることで、生産の現場も元気になる。みんながハッピーになれるでしょ!!」

「履く人の"顔"が見える。その人の体型、職業、性格とか…。そんなんがわかるのがデニムのオモロイところ。加工物もエエけど、やっぱりリジットから履き込まな!!」

何年も履き込んだように見せている加工物もそれはそれで良い。でも、ボンクラはリジットにこだわる。ガチガチの14.5ozの生地感は、お世辞にもストレッチ混のデニムより履き心地が良いとは言えない。でも、それは最初だけ。

洗いをかけ、自分の体に馴染ませてじっくりと履き込む。その人の体型や履く頻度、洗濯の仕方や回数によって表情が変わっていく。腰回りのヒゲ、セルヴィッチのアタリ、ひざ裏のハチノス…。それが自分だけに馴染んだデニム。

安いコストと丈夫さだけを考えたら、縫製に使う糸は「ポリエステル糸」で良い。でも、ボンクラの理想とは違う。コストが高く、履き込むうちに糸切れを起こす「綿糸」の方が自然とデニムに馴染むから。糸が切れたら、膝が破れたら直せば良い。そんな風になってもカッコ良く見えるのが、”デニムの魅力”だから…。