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2023.12.04
職人とは。
自ら身につけた熟練した技術によって、手作業で物を作り出す事を職業とする人のことである。
突然ですが、皆様は職人と聞いたら何を想像し、思い浮かべますか。
僕は、日常的に使用しているありとあらゆる物の背景には、人の手が加わっており、生活が成り立っていると考えます。
まさに当店で取り扱っている「TIEASY」もその一つ。
今回は11月中旬に行った国内研修•TIEASYの工場見学で僕雨宮が見た、職人の仕事を2回に分け、皆様にお伝えさせて頂きます。
第1回は「TIEASY」の良さを語る上で欠かせない”生地”の編み立てについて。
訪れたのは、埼玉県久喜市にあります、大島ニット。
この道40年の職人、大島氏のいるこの工場で、TIEASY独特の肌触りと風合いが今も作られています。
工場に入るなり、「ゴォーゴォー」と物凄い音と工場から出たら真っ白に程の綿埃が。
中には編み立て機が10台程稼働しており、それを何と1人で管理されています。
(機械について丁寧に説明をして下さる大島氏)
大島氏曰く、今では機械も自動化が進み、糸交換も自動になったが、以前は手動で交換してしていた時もあったそうです。
それをお一人でやってきた大島氏だから、どんなクライアントの要望にも応えられるのだなと。
今回見せて頂いたのは、STEPSでもお馴染みの、HDCS(高密度スラブコットン)シリーズの工程を見学させて頂くことができました。
HDCSの場合、糸が2本取りとなっており、太さの均一な糸とスラブ糸の2本を撚り合わせ編み立てています。
その為、通常のTシャツに比べて目が詰まることでタフさはもちろん、毛羽立ち難くもなります。
又、スラブ糸の特性でもある、編み込まれた時の凹凸感がサラッとした肌触りを演出してくれるのです。
写真の機械で編み立てを行っており、高速の丸編み機では通常1反(約20m)を30分という速さで編み上げるところ、HDCSの場合はとても時間を掛けて編むため、一日に3反しか編むことができないそうです。
そして、ここで職人技が。
回転速度、糸の張り(テンション)を揃えるのは大島氏の感覚。
毎日目で見て調整を行い、その日の機械のコンディションを整えているそう。
もちろん、テンションを揃える測定機なる物は存在するそうですが、あえて使わず、自分の目を信じ、ここまでやってきたと大島氏は仰っていました。
又、他にもクライアントが持ってきたサンプルを触り、その感触でどんな糸を使えば良いか分かるとのこと。
これは間違いなく、正真正銘のゴットハンドです。
「長年の勘」「その人だからこその感覚」
まさに職人の「勘と感覚」で出来た生地とお話を聞いて、ここまで拘りが詰まったブランドが「TIEASY」である事を再認識でき、その凄さに驚かされました。
そんな驚愕した僕達を見ても大島氏は「こんなの慣れだよ。」と一言、自慢気も無く、サラッと仰っていました。
ただ間違いなく本気で、そして一切の妥協もせず、クライアント、販売員、そしてお客様とその先を見た仕事をしてきたから、その「勘と感覚」が生まれ、一度手にしたら病みつきなる生地が出来ているのだと思いました。
又、HDCSは使用される糸にも拘っており、一般的に使用される糸の多くは、インドネシアなどの海外製で、日本製と比べ、安価ではあるが切れやすいなど、質が低くなってしまうとのこと。
HDCSの場合は日本製。
ここまで拘って作っているブランドは珍しいと大島氏も自慢気でした。
それもそのはず、日本の紡績工場の多くは廃業してしまい、今では片手で数えられる程しか残っていないそうです。
誇らしくなるのも頷けます。
そうして出来上がったHDCSは、傷やほつれがないか、検反作業も人の目と手で行っています。
ここまで、大事にそして丁寧に編み立てられ、ようやくTIEASYの生地が完成します。
この独特な風合いは着る人々を一瞬で虜にするほど。
癖になる背景として、1人の職人の熟練された技術と勘で生み出された生地であるから。
そんな魅力の詰まったブランド「TIEASY」は、第2回でご紹介するもう1人の染色職人よって更なる味付けをされます。
次回は染色工場で見た職人技をお伝えします。
暫しお付き合い下さい。
それではまた。
吉祥寺店 雨宮