2024.06.05

ソックスの跡 -37- SEEK&FIND

 

 

 

 

蚊取り線香の匂いが好きなSEEK&FINDの岩波です。

 

まだちょっと早いけど、焚いてます。

 

器は骨董市で出会った会津本郷焼・宗像窯の鰊鉢。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前々から気になっていたものが不意に目の前に現れてくれたので、思わず連れて帰ってしまいました。

 

宗像窯は会津本郷焼の産地として発展していた福島県会津美里町で1719年から続く民窯。

 

山に囲まれて新鮮な魚が手に入りにくかった昔の会津では、冬を越すのに重要なタンパク源として鰊の山椒漬けが作られていたそうで、そんな郷土的背景から生まれたのがこの鰊鉢です。

 

5枚の板を張り合わせただけの作為のない単純な作り。

 

持つと気持ちのいい重さがあって、適当に掛けられた釉薬も渋くて良い。

 

用途が定まらないまま持ち帰りましたが、ちょうど焚き始めた蚊取り線香がこれ以上なくハマりました。

 

もし鰊鉢を持て余している方がいたら、この使用法を猛烈に推奨したいです。

 

 

やっぱり洋服も工藝品もただ眺めるより、用いるから美しい。

 

手に入れた時も嬉しいけど、実際に使っていてじわっと良さが湧いてきた時はもっとうれしい。

 

そんなことを改めて思わせてくれる物が、身の回りに少しづつ増えてきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

日々黙々と用に堪えてくれるもの。

 

務めを果たす時に美しさが伴うもの。

 

例えば僕の身の回りには、こんな物があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペルーの素焼きの鉢

 

雑に見えてちゃんと手に収まりのいい形と素朴な絵付け。

 

柄が色々あって、他にも魚とか植物とかもあった気がします。

 

これは手に入れてから3年くらいでしょうか。

 

ざっと100枚くらいある中から色々と広げて、気に入ったこれを持ち帰らせてもらいました。

 

お味噌汁、お鍋の取り皿、フルーツを盛ったり何にでも使えます。

 

初めはもっと乾燥した感じの質感だったのですが、使い込んで内側に艶が出てきました。

 

変な色気がなく純粋なところが好きで、ついつい手に取ってしまうのはやはりこんな器です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外村ひろさんのノッティング椅子敷 

 

牧師の傍ら民藝運動に参画した外村吉之助という人がいました。

 

柳宗悦たちが行っていた民藝運動の活動から自身の進むべき道の教示を受けて織の道に入り、倉敷に手織り研究所を作ったり熊本に民藝館を設立したり、なかなか凄い人です。

 

そんな人が考案したのがこのノッティング椅子敷。

 

板によく着いて弾力があり、幾何学模様は見ているだけで楽しいです。

 

外村ひろさんは手織り研究所で吉之助から技術を学びました。

(吉之助と名字が同じなのは、後にひろさんの義父になられたからです。)

 

地方の民藝館や工藝店などに行くと、民藝家具の座面に敷かれたノッティングをたくさん目にします。

 

使い込まれたそれがまた特別魅力的に見えるんです。

 

僕の白い物は3年くらいで最後のグリーン(たしか小野眞佐子さんの作)はまだ半年くらい、もうだいぶ違いがありますね。

 

毎日の生活に欠かせません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

境道一さんの織部釉 面取りマグ

 

僕が陶器を好きになったのはこのマグがきっかけかもしれません。

 

ふらっと入った器屋さんでのスパイシーな出来事。

 

その時に求めたこのマグが教えてくれた美しさと楽しさ。

 

そこからのめり込んでしまいました。

 

軽くて色も良く、スッキリとした持ち手のデザインも良い具合なんです。

 

毎朝コーヒーを飲むのに使うので、1000回程は注いでると思います。

 

おかげで貫入に色が入ってきました。

 

汚いと言われたらそこまでですが、僕は新品の時よりも好きです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

L .L.BeanのBOAT AND TOTE

 

この世界的な定番トートに民藝の性質を感じているのは僕だけではないはずです。

 

80年前に生まれ現在もメイン州の自社工場で作られているこの鞄は、元々氷を運ぶために作られた物。

 

重たい氷に耐える耐久性を持たせ、なんと226Kgの負荷にも耐えるそうです。

 

時代は巡り用途が変わっても愛され続けられている理由は、その親しみやすいデザインと頼もしさからでしょう。

 

僕なんかは大好きでいくつか使っていますが、これは入社1年目に初めて手にした物で5年使ってます。

 

よく洗うので色が程よく抜けて生地もコシが取れ、ハンドルは破けてきました。

 

自分でちくちく直すのもひとつの楽しみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BONCOURA XX

 

なんの気無しに履いている。

 

いや、何の気なしに履かせてくれるこのデニム。

 

洋服としての役割を超えて生活の道具となっています。

 

十分な耐久性、デザインとしての普遍性、そして日々用いることで味わえる変化。

 

履く人にだけわかる些細な変化が、その日をちょっと良い日にしてくれます。

 

語りどころは山ほどあるプロダクト。

 

しかし、実際に履いてその完成度の高さを味わえば、感想を求められた時に背景やうんちくの出る隙はあまりないかも知れません。

 

「なんか良い」

 

それが一番の褒め言葉ではないでしょうか。

 

僕にとって二代目のXXもゆっくり変化が表れています。

 

でもまだまだ序の口。

 

おじいさんになってもクローゼットにありそうな一本です。

 

 

 

今回はちょっと長くなりましたね。

 

好きなものについて書き始めるとついつい…

 

つらつら書きながら、こういったもの一つ一つに生活が支えられているなと改めて考えてしまいました。

 

暮らしの友に感謝。

 

それではまた。

 

 

岩波

 

 

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