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2020.04.30
本日のトピックスは、音楽とファッションについて。
映画と並び、やはりファッションとは切ってもきれない縁のある音楽。
歴史の中で音楽とファッションは様々な形で互いに影響を与え合ってきましたが、
僕が最近個人的な興味を抱いているのが、ジャズとファッションの関係性。
中でも40〜60年代、ジャズマンたちの制服であったスーツスタイル。
Modern Jazz Quartet
Lee Morgan
70年代以降はジャズマンたちのファッションも多様化していき、ジャズマン=スーツ というイメージはだんだんと希薄になっていくのですが、
そもそもなぜ音楽をやるのにスーツだったのか。
元々は当時のアメリカのジャズクラブの経営者が、クラブに出演するジャズマン達にスーツの着用を義務付けていたと言う歴史的な背景があったそうです。
現代では俳優やポップスターがそうであるように、その時代はジャズマンたちがファッションリーダー。
彼らが築いていったスタイルは、その音楽と同様に、現代でもさかんに引用され続けています。
もう半世紀以上も前のことなので、インターネットを使って調べてもなかなか情報が出てこなかったり、情報が出てきても曖昧だったり。
なかなかガードの堅い分野ですが、だからこそ妄想のしがいがあると言うか、誰にも断言できない余白の部分を自分の直感で楽しんでいける面白さがあります。
それでは、彼らが残してきた名作の写真を眺めつつ、いくつか妄想を。。。
PORTRAIT IN JAZZ / Bill Evans Trio (1959)
ビル・エヴァンスといえばの一枚、まさに「ジャズのイメージ」のお手本のようなジャケではないでしょうか。
キチッとしたヘアスタイル、ウェリントン型のメガネ、首元から不自然なほど綺麗に下がる右下がりのレジメンタルストライプ、完璧です。
現在ではトラッドなデザインの代表であるウェリントン型のセルフレームですが、当時ではかなり斬新なものだったみたいです。
Know what I mean / Cannonball Adderley(1961)
サックスを手に持つアダレイが着用しているブラックのジャケット。
よく見ると、軍モノに使用されていそうなシルバーのメタルボタンがついていて、とても新鮮に感じます。
頭とネクタイのノットが少し傾いているのが萌えポイント。。
HORACE SILVER ART BLAKEY-SUB / Horace Silver (1955)
見てくださいこのシルバーのはっちゃけた表情!謎のポーズ!!
ここ最近で一番好きなジャケです。ジャケだけじゃなく収録曲もパワフル、元気が出ます。
スーツではなくシャツにタイのスタイルですが、ダブルカフスのシャツにナローなチェックタイが粋です。
シルバーの写真を見るといつも時計を右手につけているのですが、左利きなのでしょうか。
The Bridge / Sonny Rollins (1962)
1959年から活動を停止していたロリンズは、イーストリバーにかかるウィリアムズバーグ橋で人知れずサックスの練習を重ねていたそうです。その練習場所にちなんで付けられた「橋」というタイトル。
このジャケには気になる点がたくさんあります。
チェックシャツとチェックジャケットのコンビ、溢れる程ボリューミーなシャツの襟、
止められたジャケットの飾りボタン、妙に大きなシャツのボタン。。。
ロリンズはあまり服装へのこだわりが強く無かったのかもしれませんね。
WORKIN’ / Miles Davis Quintet (1960)
時代の変化を敏感に感じ取り、変わり続けて行ったマイルス。
サウンドだけでなくファッションへの拘りも相当なもので、着ているスーツはオーダーメイドが中心だったそうです。
トランペットを構えた状態で最も美しいシルエットになるように、採寸の際もトランペットを構えて行なっていたという噂があるくらい。(笑)
この着こなしも全体のバランスが絶妙。ジャケットの袖先から覗くシャツの幅もたまりません、理想的です。
こんな具合で、名曲の数だけ名ジャケはあり、妄想は絶えません。
音楽の楽しみ方は聴く事だけじゃないですね。
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