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2024.04.22
「不易を知らざれ場基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」
不易流行
松尾芭蕉が「奥の細道」の旅をする中で体得した概念。
簡単に訳すと、不易(いつまでも変わらない本質的なもの)を大事にしつつ、流行(時代とともに変わっていく新しい変化)を取り入れるという意味で、
両者は一見すると対照的な言葉ですが、根本は同じという考え方です。
不易と流行、根本は一つとはどういう事なのか考えてみました。
私なりの解釈は、
新しい変化を取り入れる事が、変わらない本質的な事であり、
ずっと変わらない本質を、常に新しく変化していく中で探し求めているという事。
だから、根本においては一つなのだろうと。
何とも深く難しいですね。
つまり、自分の人生の軸となるものは、生きていく中で見つけていくものだということです。
環境や人が新しく変わったりしますが、
組織の根本的な方針や理念は変わらない新年度にぴったりの言葉、図鑑になるかもしれません。
第11弾は、昔から変わらない定番アイテムを現代的なシルエットに落とし込み、
MADE IN JAPANに熱いこだわりを持つブランド『Sanca』です。
Sanca(サンカ)は、2007年に誕生した日本のブランド。明確なブランドコンセプトはあえて設定していないが、柱となる部分は”MADE IN JAPAN” ”古いものと新しいものとの融合” ”自分が着たい服”の3つ。MADE IN JAPANのこだわりは、デザイナー丸山氏自身が10代の頃にMADE IN USAに憧れを抱いていたことと同じくらい現在はMADE IN JAPANの完成度の高さに敬意を抱いている。
日本が持つ高い縫製技術と素材背景の良さを、現代的なシルエットとテイストを持つアイテムで伝え続けています。
Sancaは他のブランドと異なり、毎シーズンにテーマを持ってコレクションを出すのではなく、
一点一点にこだわりを持ち誠実にアイテムを作り出しているブランドです。
つまり、その一点自体が作品なのです。
かなり余談になりますが、
これを知った時に、真っ先にロックバンドのアルバムの概念と似たものを感じました。
今でこそ、音楽アーティストは一つのテーマを設けたアルバムを出していますが、その歴史を遡ると、
実はThe Beatlesが”Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band”というコンセプトアルバムを出した事が始まりと言われています。
ここから一つのテーマを持ったアルバムが出されるようになりました。
どこか、アパレルブランドと似たところを感じます。
これに置き換えると、Sancaはコンセプトアルバムというより、シングルに力を入れているブランドというとわかりやすいですかね。
本題に入り、STEPSで毎年セレクトしているアイテムの紹介していきます。
Sancaといえばスウェットが代表的ですが、
今回はSTEPSで毎年定番でセレクトしているさりげなくもこだわり抜かれたデニムをご紹介。
『Tapered 5Pockets denim』
旧式の織機が使われているセルビッチデニムです。
生地からディテールまではすべてヴィンテージデニムに近い雰囲気で作られています。
しかし、シルエットは現代に馴染む綺麗なテーパード。
ウエストから太もも部分にかけてはボリュームがあり、ストレッチがなくとも履きやすさ満点。
そして、足首にかけてテーパードがかかっているので無骨でも野暮ったくもなくすっきりとした雰囲気になります。
足が綺麗に見える計算をされ尽くした最高のシルエットなのです。
そして、ディテールにも語りきれないほどのこだわりが。
さりげないこだわりがぎゅっと詰まっていると感じられるのは、ブランドオリジナルのプリント生地でつくられたポケットではないでしょうか。
履いてしまえば見えないポケットの裏地。
その見えない部分をこだわるところが、どこかそそられますよね。
そして、岡山県の有名工場で作られたデニムにはこのスタンプが押されています。MADE IN JAPANの証です。
何十年後、何百年後、いつかこのスタンプが押されたSancaのデニムが希少になるかもしれませんね。
想像するだけで所有欲が高まります。
デニムは着る人のライフスタイル、育て方によって変わっていくもの。
着る人の等身大の姿、そしてこれまでの歴史を映し出していく唯一のアイテムかもしれません。
しかし、根本は同じデニムなのです。
昔ながらのデニムの良さを取り入れつつ、現代に添うよう履きやすさも両立させたSancaのデニム。
まさに不易(=永遠に人を感動させるもの)流行(=その時代における新しさの先端をいくもの)ではないでしょうか。