2022.10.26

一日一服 / あるブーツの価値 SEEK&FIND

2022年10月9日、朝にふと目が合った。

いつも視界に入ってはいたけど、

何年も目を合わせていなかった一足のブーツ。

 

ちょっとしたフレッシュな気持ちを取り入れたかったのか、単なる気まぐれか..

その日履こうと思っていたparabootをそっと脱いで、その靴に足を入れ、ゆっくりと丁寧に紐を結んだ。

紐を結んでいる間には購入した日のことを思い出していた。

そろそろ良い革靴が欲しいと、学生のころに下北沢のSTEPSに友達と足を運んだこと。

確かセール価格で3万5千円くらいだったかな..

なんてことを。

 

駅に向かう道中も懐かしさに浸っており、

イヤホンから流れるKFラジオが全然頭に入っていなかった。

 

この靴を買った帰り道はなんだか堂々とした足取りだった。

不良映画を観た後になんだか強くなった気がするのと同じような感覚に近い感じ?

新潟で暮らす友達は元気にしてるかな?

 

とか考えながら駅のホームで

足元の写真を記念に撮ってみた。

 

 

そして何の気なしに、

撮った写真とともに

 

“元気にしてる?”

 

と友達に送ってみた。

いつもなら嫌な電車の遅延も気にならずに。

 

吉祥寺に着いた頃には返信があり、

数回のメッセージのやりとりをしてオンラインでの飲み会の約束をした。

 

ふと考えてみると、

“人がモノを繋げること”を意識していたことはあったけど、

“モノが人を繋げること”には意識が向いていなかった。

 

この朝の出来事が自分にとって心地よく、

出勤までの少しの時間でコーヒーを飲みながらぼんやりと考えてみた。

 

“人がモノを繋げること”

 

仲の良い友人、憧れの販売員、人生の先輩。

誰かのフィルターを通されたものを、

その後に自分のフィルターを通してみる。

 

自分で選んだようで、自分だけで選んでいないこと。

そんなモノ選びが誰にだってある。

それも含めて個性だし、自分を彩るのに様々な人を介しいることは興味深いし素敵なことだと思う。

 

 

そして、”モノが人を繋げること”

 

あの日の朝に例のブーツと目があっていなければ、

その友達に連絡して約束をとりつけることは直近ではなかったと思う。

 

もしかすると着飾ることは、

モノが持つ機能の一部分(表面)であって

そのモノ本体には所有者にしかない別の機能(側面)があるのかもしれない。

 

そう感じたら、居てもたってもいられずに、僕とそのブーツを彩った数名に連絡をしてみた。

 

歩くたびにキュッキュッと音を鳴らす原因不明の例のブーツを

“赤ちゃんが歩いてるみたい”と駆け出しの僕をからかってくれた先輩。

 

たまに連絡をとっていたけど、最近疎遠になっていた例のブーツを販売していた方。

 

LINEの画面を開くと、2年や5年も連絡をとっていなかったことに気づく。

皆さん当時とは全く異なる暮らしをしていたけれど、

一先ず元気そうで何よりだった。

 

そして、あらためて”繋がれるモノ”があったことに感謝した。

何年も履いていないブーツの価値は人それぞれ。

表面だけを見れば、その役割はほぼ全うし終えているのかなと思うこともしばしば。

それでも僕にとっては数人と繋がることのできる価値あるブーツ。

 

 

別に今回のブーツに限ったことでもないし、

その時の気まぐれによるところが多いんだろうけど、

そんなスタンスがあっても良いじゃないと思った日。

これだから僕には断捨離ができない。笑

 

“人がモノを繋いで、モノが人を繋げる”

「繋げる」をできる限り多くのお客様に繰り返しご提供できたらなと思います。

 

それでは。

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