NEW 2026.06.08

【山形研修】熟考と手仕事による逸品
STEPS

 

皆さま、こんにちは!

自由が丘店の行場です。

 

 

先日の米富繊維についての投稿は読んでいただけましたか?

 

 

製品が出来上がるまでにかかる時間と手間

 

 

作る人と使う人の距離が物理的に離れてしまっているが故に、

今まで気付くことができなかった多くのことに気付かされました。

 

 

私はそもそもニットなどの編み物がどのように作られているのか知りませんでした…

 

 

 

見学させていただいた工場では工程ごとに老若男女を問わず、

たくさんの職人さんたちが黙々と手を動かしていらっしゃいました。

 

 

話は耳にしていたものの、機械や職人さんによる作業風景など

実体を目の前にするのとしないのとでは、感じることが違います。

 

 

私たちが吸収してきたことを、是非皆さまにお伝えしたい!

 

 

 

今回の研修を通して作り手の意地やこだわりを感じたのは

決して米富繊維だけに限った話ではありません。

 

 

今回の投稿では米富繊維以外に見学させていただいた

山形を代表する2つの工場の様子について、皆さまにご紹介したいと思います。

 

 

 

 

 

1つ目は、天童木工について。

 

山形県天童市に本社と工場を構える家具メーカー

 

 

1940年の創業以来、成形合板家具を中心に製作、販売しています。

 

 

成形合板とは、木の板に接着剤を塗布し重ね合わせ、

型に入れ加圧・加熱することで硬化させ、木材を曲面状に成形する技術。

 

 

複雑で繊細な曲線デザインを木材で実現できるこの技術は、

1930年初頭に西洋諸国を中心に工業分野で活用され始め、

日本では終戦直後に天童木工がいち早く実用化しました。

 

 

この成形合板に加え、家具に不向きとされていた

日本各地の軟質針葉樹の活用を目指し、

圧着加工技術を開発。

 

 

木目の個性を活かしつつ家具用材として十分な強度を実現するなど、

地産地消の家具づくりにも取り組んでいます。

 

 

 

 

 

2つ目は、山形緞通について。

 

山形県山辺町にあるオリエンタルカーペット社が手掛ける絨毯ブランド

 

創業年である1935年、絨毯文化のない日本に

中国より指導者を招き、緞通技術の習得に成功。

 

 

以来、日本で唯一、山辺町にある工房で糸から作る一貫生産にこだわり、

皇居新宮殿や歌舞伎座、バチカン宮殿に納入するほどの品質を誇っています。

 

 

 

お恥ずかしながら「緞通」という言葉を今回初めて知った私…

 

Q.「緞通(だんつう)」とは?

A.中国語で敷物を指す「毯子(タンツ)」を語源とした厚手の高級絨毯のこと。

 

 

 

オリエンタルカーペット社では職人さんが手作業で

縦の綿糸にウール糸を巻き付けるようにして織る

昔ながらの手織を採用していますが、

職人が急ピッチで製造に当たったとて

1日に数センチほどしか進まないそう。

 

 

一点一点を正確に巻き付けカットし、

柄を作っていく地道な作業はまさにプライスレスな技術。

 

 

 

また、オリエンタルカーペット社では手織以外に

フックガンと呼ばれる銃のような機械を用いた手刺の技術を導入し、

製作時間やコストの削減を試みています。

 

 

より私たちの手に届きやすい価格を実現するとともに、

効率的な手刺しの技術に頼りすぎず、

少しでも手織のクオリティに近付けることをモットーに、

高密度な絨毯の製作に専念しているのです。

 

 

 

 

 

今回私は米富繊維を含む山形県の3社を巡り、

いくつかの共通点を発見しました。

 

 

 

まず、職人さんの丁寧な手仕事と企業による努力です。

 

 

天童木工のショールームと工場を繋ぐ渡り廊下を

木の温かな香りに包まれながら進むと、

家具に使うクッションの裁断、木材の加圧・加熱、組み立て、

塗装といった工程ごとにエリアが分かれており、

特に機械のあるエリアでは若干の熱さを肌で感じることができました。

 

 

木材の加工の際に飛散する木粉が故障に繋がるため

冷房設備はなく、夏は室温がかなり高くなるそう。

 

 

思えば米富繊維の工場でも、

織り機のあるエリアではやや暖かさを感じました。

 

 

 

機械を用いた作業はもちろんのこと、

何より私が感動を覚えたのは職人さんの丁寧な手仕事の数々です。

 

 

家具に使用する木材は天然資源であり、材質の個性によって

同じように重ね合わせて作ったパーツにも少々ズレが生じます。

 

 

そういった髪一本分のズレは

最終的に職人さんが手直しで修正していました。

 

 

特に、自動車の内装部品に関しては安全性の基準がより厳しく設定されており、

私たちが見学した工場とは別の場所で精密に製造されているそう。

 

 

 

 

オリエンタルカーペット社でも機械を用いた手刺緞通の場合、

表面に凹凸が目立つ不揃いの状態だと糸が抜けやすくなるため、

職人さんの手で下に寝ている毛を起こす作業がありました。

 

 

機械の精度が大いに評価されるようになった現代でも、

ものづくりの現場では最終的に人の手が選ばれています。

 

 

オリエンタルカーペット社では、緞通を形にした職人さんが

その製品に対して責任を持ち、仕上げの作業までを一貫して担当します。

 

 

米富繊維の工場でも生地の端の処理や検品などの最終的な仕上げは、

一つ一つ丁寧に職人さんが手作業で行っていました。

 

 

また、ニットの編地をデザインした本人が

織り機にデータを読み込ませ、サンプルの編み立てを行うなど、

製造工程に一貫性がある点も共通しています。

 

 

編み立てたサンプルに不備があればその都度本人が修正を行う点からも、

一つの製品に対する職人さんの責任が感じられます。

 

 

ここまで大事に作られた製品、

なんだかもう既に愛着が湧いてきますよね。

 

 

 

そしてもう一方で軽視できないのが、

デザイナーと職人の間を取り持つ企業の努力です。

 

 

 

デザイナーによる無茶かと思われるデザインや特別注文品に対する

天童木工の「できないと言わない」姿勢からは、

こだわりや意志を感じ取ることができました。

 

 

「日本を代表するデザイン家具メーカーとして

今の生産体制を守り、続けていく使命がある」

 

 

この言葉を伺ったとき、まさにそれを体現している製品が、

天童木工の世界的な顔でもあるバタフライスツールだと思いました。

 

 

元々、デザイナーによる紙2枚を使った手遊びから発想を得たこの椅子は、

木の板を7枚重ね合わせて作られていますが、

外は希少なローズウッド、中はブナの板にすることで

強度を保ったまま材料費を抑え、私たちの手に届きやすい価格を実現しました。

 

 

また、下部分のデザインに見られる立体的なデザインは、

木の板の木目を別方向に重ねることで強度を上げる

「三次元プレス成形」という独自技術を用いて

デザイナーの要望に応えた例の一つです。

 

 

一見、無茶かと思われる要望に真剣に向き合い、

技術を用いて応えることで会社としての天童木工を進化させてきたのです。

 

 

 

デザイナーのユニークな発想がクラフトマンの探究心を刺激し、

双方のプロフェッショナルが納得して出来上がる製品。

 

 

それはもはや芸術作品と言っても過言ではないのかもしれません。

 

 

 

米富繊維や山形緞通のオリエンタルカーペット社で聞こえてきたのは、

 

「手間をかけようと思えば無限、それが工芸である」

「こだわったらキリがない、終わりがない」

 

というような自分たちの仕事を突き詰める言葉ばかりでした。

 

 

 

企業がその点を理解しつつも多くの人に欲しいと思ってもらえる物の製造に、

出せる全てを注ぎ込んで取り組んでいるのです。

 

 

 

 

 

そして、それぞれの企業がこれまで長い歴史を歩んでこれた理由にも

やはり共通点があります。

 

 

 

…と、本来であればこの投稿で全てをお伝えしたかったのですが、

あまりにも書きたいことが多くなってしまうため、

続きは次回の投稿で。

 

 

更新を楽しみにお待ちいただけると嬉しい限りです。

 

それでは、また!